【懐かしラジオ】第1回「ラジオパラダイス 1986年10月号」

【懐かしラジオ】第1回「ラジオパラダイス 1986年10月号」
ラジオパラダイス 1986年10月号 ©三才ブックス

FM誌全盛の中、AM遠距離受信リスナーがターゲット

過去の資料を見ながら、当時の番組、パーソナリティを振り返ってみようという不定期連載シリーズ。記念すべき第1回目は「ラジオパラダイス 1986年10月号」。さっそくじっくり見ていこう。

「ラジオパラダイス」とは1985年9月号~1990年7月号まで弊社・三才ブックスから発行された月刊誌。最初は中綴じ、途中から無線綴じ(背があるやつ)に変わったラジオ専門誌である。

80年代はエアチェック(懐かしい!)を主目的とした「FM STATION」「FM Fan」が全盛。そんな中、「ラジオパラダイス」はAMラジオの遠距離受信リスナーを対象としており、全国誌にもかかわらず地方局のアナウンサーがカラーページに登場するなど、鈴木英人のイラストが目にまぶしい洗練された他誌とは一線も二線も画していた。

ちょうどこの頃ラジオを一番聴いていた私(=中学生)も何冊か購入した記憶がある(まさかこの会社に就職するとは思わなかったが)。この頃はインターネットがない時代なので、パーソナリティがどういう顔をしているのかも知らないことが多く、この雑誌を見て感銘を受けたり、ショックを受けたりしたものだ(※ショックのほうが多かったものだが、MBSヤングタウンの佐藤良子アナやびわりんは美人で驚いた記憶がある)。

ネコの手も借りたい、ぬかるみ…懐かしいタイトルがずらり

そんな雑誌の創刊1周年ということで「お祭り気分マン快号」と昭和テイストに溢れたキャッチが銘打たれたこの10月号、表紙は斉藤由貴だ。当時ニッポン放送の土曜夕方にオンエアされていた「ネコの手も借りたい」(1986年春~1995年春)を担当。この表紙の当時の彼女は弱冠20歳。「睡眠時間が少なくて、大好きなルキノ・ヴィスコンティの映画を観ることのできない由貴ちゃん。最近凝っているのが帽子とメガネ」と記事にあった。女優・斉藤由貴の片鱗が見られる。

ラジオパラダイス1986年10月号目次  ©三才ブックス

目次をざっと見て目に留まるのが以下のとおり。
・インタビューが笑福亭鶴瓶と兵藤ゆき。それぞれ「ぬかるみの世界」(ラジオ大阪)、「名古屋フォークタウン」(東海ラジオ)などについて語っている
・「カラーグラビア」にある「その子」は河合その子。ニッポン放送「拝啓その子です」を担当
・同じくカラーグラビアの「PAO~N 800回記念スペシャルイベント」は、「PAO~N ぼくらラジオ異星人」のイベント「海の中道・プールでサバイバル」の模様をリポート。現在も昼の「PAO~N」を担当している沢田幸二氏の若かりしころの躍動する姿が見られた。

ランキングで見る当時の人気パーソナリティ

特集は「パーソナリティ 人気投票総決算」。毎号読者からの投票の結果を掲載していたのだが、年に1度総決算として大々的に年間ランキングを発表していた。
その最初の「総決算」となった1986年10月号のランキング(10位まで)が表のとおり(番組名は主なもの)。ジェンダーレスな今の世だと難しいかもしれないが、男女別に発表していた。

女性部門

1位小森まなみ「はしゃいで〇〇大放送」(ラジオたんぱ)
2位斉藤洋美「ラジオはアメリカン」(TBSラジオ)
3位渡辺美里「スーパーギャング」(TBSラジオ)
4位大橋照子「私の書いたポエム」(ラジオたんぱ)
5位中島みゆき「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)
6位河合奈保子「MBSヤングタウン」(MBSラジオ)
7位菊池桃子「あなたと星の上で」(ニッポン放送)
8位平松圭子「とびっきりNight」(東海ラジオ)
9位国生さゆり「走れメロン」(ニッポン放送)
10位谷山浩子「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)

〇男性部門

1位小堀勝啓「わ!Wideとにかく今夜がパラダイス」(CBCラジオ)
2位三宅裕司「ヤングパラダイス」(ニッポン放送)
3位上柳昌彦「HITACHI FAN! FUN!TODAY!」(ニッポン放送)
4位沢田幸二「PAO~N ぼくらラジオ異星人」(KBCラジオ)
5位とんねるず「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)
6位吉田照美「吉田照美のふッかいあな」(文化放送)
7位ビートたけし「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)
8位新野新「ぬかるみの世界」(ラジオ大阪)
9位ミンキー・ヤス「mamiのRADIかるコミュニケーション」(東海ラジオ)
10位明石家さんま「MBSヤングタウン」(MBSラジオ)


こうしてみると、小堀勝啓(小堀勝啓の新栄トークジャンボリー:CBCラジオ)、三宅裕司(サンデーヒットパラダイス:ニッポン放送)、上柳昌彦(上柳昌彦 あさぼらけ:ニッポン放送)、沢田幸二(PAO~N:KBCラジオ)など、男性は半分以上が今もラジオでしゃべり続けている(そもそも演者以外のランクインもあり)。対して女性はというと、渡辺美里(渡辺美里のLive Love Life:bayfm)、大橋照子(私の書いたポエム:ラジオNIKKEI)、菊池桃子(菊池桃子のライオンミュージックサタデー:文化放送)の3人のみだ。
とはいえ35年も前のランキングなのだから、それでも十分すごいこと。明石家さんま、大橋照子が同じ番組の灯を守り続けていることも特筆すべきことである。

人気投票は時代を映すものであるが、ラジオに関しては根強いファンが多くいるメディアなのだと改めてわかる。

文/編集部

表4(裏表紙)にはフェアメイトの広告。このダブルカセット欲しい! ©三才ブックス

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